素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~
夢は叶えます
あれから月日は経ち今日から新しい月が始まろうとしていた。



そして、今日は私にとって重大な日。
私が企画した口紅が発売される日だ。


期待と不安が入り混じりながら、私はオフィスで静かに目を閉じた。



お客様の笑顔が見れますように……。
そう心で願い、ぎゅっと祈るように手を重ねた。



「泰東、いよいよだな」

「橘部長……そうですね……。
緊張します」

「やれるだけの事をやったんだ。
後は待つだけだ」



そう言って橘部長は自分のデスクへと戻って行った。


初めて橘部長とマコさんのお店に行ったあの日から、もう何日が経っただろう。
痛む胸はおさまる事を知らないかの様に私を苦しめる。


橘部長は何も変わっていない。
そして私の気持ちも何1つ変わっていない。


変わったのは……マコさんというライバルが現れた事と……。
翔也さんが更に優しくなったって事だけ。



「夏香!!
口紅どうなったんだろうな!?」

「……うん……」

「不安そうな顔すんなって!!
大丈夫だ……絶対に」



大樹の真剣な顔つきが私の不安を和らげてくれる。
大樹は強い……私も見習わなきゃ。



拳を握りしめ私は、仕事へと取り掛かった。

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