素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~
橘部長の顔が微かに紅く見えた。

その時嫌な予感が私の頭をよぎる。
もしかして橘部長……マコさんの事を……。


そんな私の不安を晴らす様に小さな声が私に届いた。



「ここに来ると……お前と一緒にいられるかもしれないからな」



照れたような顔で言う橘部長。
私はそんな彼から目が離せなかった。


耳ま赤く染める橘部長は、私より遥かに年上なのに凄く可愛く見えた。



「えへへ!
じゃあ初めから誘ってくれればいいじゃないですか?」



嬉しくなり、調子にのっていればさらに嬉しい言葉が私を盛り上げさせる。



「……毎日誘うのは恥ずかしいだろ。
……ここなら誘わなくても来るかと思ってな」

「……じゃあもしかして……私と一緒に食べる為にここに来てくれるんですか?」

「……それ以外にないだろう」



恥ずかしそうに笑う橘部長に胸が高鳴る。


なんか……幸せだな。
例え部下としてでも、橘部長が私を見てくれていると思うと……。
凄く胸が温かくなる。



「はいはい。甘い雰囲気出さないー。
俺がここにいるって忘れないでねー」


死角から現れたのは少し不機嫌そうな顔をした翔也さんだった。



「またお前か……」


タメ息をつきながら橘部長は翔也さんを睨みつけていた。
そんな視線をものともせずに翔也さんは私の隣へと座る。


「夏香ちゃん!橘さんじゃなくて俺と一緒に食べようよ!」

「……橘部長と食べます」

「えー!!俺だって注文せずに待ってたのに?」

「俺だって?」



翔也さんの言葉に首を傾げれば、何故か橘部長は焦っていた。

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