素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~
チャンス
翌日


私は毎度の事ながら会社に行くため電車に揺られていた。
結局、昨日の飲みから帰ってきたのは夜中の2時を回っており今日も寝不足だ。
流石に2日続けての寝不足は厳しいものがある。


「ふぁ……」


思わず出かけたアクビを無理やり押し込む。
私の頭の中に昨日の朝の出来事が浮かんだからだ。
昨日、大きな口でアクビをしていたところを橘部長に見られたからな。
うかつに出来ない……。


「ほぅ。今日はあくびしないんだな」

「……へ!?」


隣から低く私を嘲笑うような声が聞こえ、そっちに顔を向ければそこにいたのは橘部長だった。
何でここにいるの!?
アクビしなくてよかったよ!!


心の中で安堵のため息をつき、私は口を開く。


「橘部長……。おはようございます……」

「おはよう」


私は急なことに驚き過ぎたのか何を言ったらよいのか分からずとりあえず挨拶をする。
橘部長も挨拶を返してくれたが無表情だ。


っていうか何で2日連続ここで橘部長と会うの!?
私は毎日この電車のこの車両に乗ってるけど今まで会った事ないし……。
もしかして私が気付いてなかっただけ!?



「橘部長って電車通勤なんですか?」

「そうだが。まさか毎日隣に立っていた奴が同じ会社の人間だとは思わなかったがな」


……あぁ。
終わった、わたしの人生が。


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