素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~
着いていくことを伝えれば橘部長は優しく微笑んでくれた。
いつもなら凄く嬉しくなるはずなのに今日は余計に胸が痛んだ。
何故か翔也さんまで一緒に行くことになり、私たちは4人でマコさんの喫茶店に向かった。
「……何で橘さんは店長さんと一緒なんですか?」
私が訊きたくても訊けない事を翔也さんがさらっと聞いていた。
その答えが知りたいような知りたくないような気分に陥っていれば橘部長の声が静かに暗闇に溶けていった。
「今日は大学の同窓会だったんです」
「ふーん……でも、わざわざ橘さんが送る必要なくないですか?」
「成り行きですよ。同期の連中はみんな家庭を持っていて早く帰らなきゃいけないとかで。
俺に白羽の矢が立ったって訳です」
「……なるほど」
橘部長は困ったように顔を顰めたと思ったら、その視線は私の方に向いていた。
一瞬だけ目が合い、私の胸はドクンと脈を打った。
しかし、すぐに橘部長は私から目を逸らした。
「水沢さんこそ……なぜ泰東と一緒に?」
普段よりずっと低い声に思わず肩が震えてしまった。
驚きながら橘部長の横顔を盗み見れば眉間が恐ろしい事になっている。
お世辞でも温暖とは言えない顔つきをしている橘部長。
でもどこか優しさは存在していた。でも今の橘部長には“怒り”しか見えない。
どうして……?その理由が分からない私は黙ったまま2人を交互に見つめていた。
「夏香ちゃんに相談に乗ってもらっていたんです。
橘さんが心配するような事は何にもないですよ」
「俺は別に……」
翔也さんと橘部長のやり取りは少し怖かった。
2人とも怖い顔をしながら話しているし、お互いの顔を見ようとはしない。
この空気に耐えきれなくなった私はわざと明るく声を出した。
「橘部長!同窓会どうでした?」
「……楽しかったよ。久しぶりに会った奴らばかりで」
一瞬だけ驚いた顔をしたものの、橘部長は目を細めて私の質問に答えてくれた。
いつもなら凄く嬉しくなるはずなのに今日は余計に胸が痛んだ。
何故か翔也さんまで一緒に行くことになり、私たちは4人でマコさんの喫茶店に向かった。
「……何で橘さんは店長さんと一緒なんですか?」
私が訊きたくても訊けない事を翔也さんがさらっと聞いていた。
その答えが知りたいような知りたくないような気分に陥っていれば橘部長の声が静かに暗闇に溶けていった。
「今日は大学の同窓会だったんです」
「ふーん……でも、わざわざ橘さんが送る必要なくないですか?」
「成り行きですよ。同期の連中はみんな家庭を持っていて早く帰らなきゃいけないとかで。
俺に白羽の矢が立ったって訳です」
「……なるほど」
橘部長は困ったように顔を顰めたと思ったら、その視線は私の方に向いていた。
一瞬だけ目が合い、私の胸はドクンと脈を打った。
しかし、すぐに橘部長は私から目を逸らした。
「水沢さんこそ……なぜ泰東と一緒に?」
普段よりずっと低い声に思わず肩が震えてしまった。
驚きながら橘部長の横顔を盗み見れば眉間が恐ろしい事になっている。
お世辞でも温暖とは言えない顔つきをしている橘部長。
でもどこか優しさは存在していた。でも今の橘部長には“怒り”しか見えない。
どうして……?その理由が分からない私は黙ったまま2人を交互に見つめていた。
「夏香ちゃんに相談に乗ってもらっていたんです。
橘さんが心配するような事は何にもないですよ」
「俺は別に……」
翔也さんと橘部長のやり取りは少し怖かった。
2人とも怖い顔をしながら話しているし、お互いの顔を見ようとはしない。
この空気に耐えきれなくなった私はわざと明るく声を出した。
「橘部長!同窓会どうでした?」
「……楽しかったよ。久しぶりに会った奴らばかりで」
一瞬だけ驚いた顔をしたものの、橘部長は目を細めて私の質問に答えてくれた。