素直になりたくて～メイクに恋してあなたを愛す～
あっという間に時間は経過して午後の勤務時間になった。
仕事をしている時、静かだったオフィスの空間を破った人がいた。


「皆、第1会議室に集合してくれ」


それは橘部長だ。
低い声に怯えつつも皆、疑問に思いながら会議室に足を運ぶ。


「何だろうな？会議の予定なんてなかったよな？」

「うん……。緊急なことかな？」


大樹と一緒に話ながら歩く。
会議室に着き椅子に座れば橘部長が前に立っていた。
何ともいえない怒った顔をしながら。
鬼のような形相とはこの事を言うのだろう。


「お前たちは今まで何をしてきたんだ？」

「……」


決して怒鳴ってる訳じゃないのに恐ろしいほどの低い声にみんな口を開く事すら出来なかった。
もちろん私もその1人だ。
沈黙が続く中、橘部長は手に持っていた資料をバンッと机に叩きつけた。


「今までどんな指導を受けてきたかは知らないが……。
俺は会社の利益ばかりを追求した物を商品化するつもりはない」


橘部長の言葉にみんなざわざわしだす。
それもそのはず、今までは会社の利益が上がるような商品を考えればよかったんだもん。
ずっとそのやり方でよかったのにいきなり否定されて驚かない訳がない。


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