素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~
「橘部長……私はあなたの不器用なところをひっくるめて大好きなんです。
だから……その……これからも宜しくお願いします」

「っ……悪い」

「へ?」


断られた?
驚いていればゆっくりと私の視界は反転していく。
背中に柔らかい感触を感じた。


「えっと……」


橘部長に押し倒された。
その事が私の頭を混乱させた。


「本当は我慢しようと思った。
気持ちが通じ合ってすぐにって言うのは違うと思う。
だが……お前が可愛い事を言うから抑えきれなくなった」

「……私のせいなんですか!?」


私を見下ろす橘部長からは大人の香りがした。
この状況で何をするか分からないほど私は子供じゃない。


「嫌なら俺を押し返してくれ。
今ならまだ引き返せる」


そう言って私の顔にゆっくりと橘部長の顔が近づいてくる。

確かに付き合ってすぐ何ておかしいかもしれない。
でも……私は……。
橘部長を押し返すことなくキスを受け入れた。


「……本当にいいのか?」

「……はい……橘部長なら……」


恥ずかしがりながらも笑顔を浮かべれば橘部長は顔を緩める。


「お前は本当に……可愛いな」

「……やめてください……」

「嫌だ。ずっと言い続けるさ。
やっとお前と面と向かって話が出来るんだから」


橘部長は私の顔を包み込むと深い口づけを私に与える。
甘くて妖艶な行為に私は溺れていった。
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