素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~
「俺はお前に誓うよ!
ここで、この会社で俺は1から頑張る!!
お前の最高のライバルとして……誰にも負けない化粧品を作ってみせる」

「大樹……」


実は大樹も橘部長にスカウトされていたんだ。
橘部長も大樹の実力を見抜いていた。
彼は面倒くさがり屋なだけで本当は凄くいいアイディアを沢山持っているし、彼の化粧品への想いは私と橘部長に負けないくらい強いから。
だけど大樹は橘部長の誘いを断った。
まだ俺にはやらなければいけない事が残ってる、そう言った彼の目は真っ直ぐでとてもきれいだったのを今でも覚えている。
大樹が言っていたのはこの事だったのか。


「絶対に夏香を失望させたりはしない。
俺がお前の1番のライバルだ……この会社を俺が、俺たちが変えてみせる」


大樹がグルッと辺りを見渡せばみんな笑顔になっていた。
やっぱり大樹は凄いや。
大樹がいればこの会社は大丈夫だ。
今とは比べ物にならないくらい凄い会社になるだろう。


「私だって負けないよ!」


2人で顔を見合わせて笑いあう。
その様子を橘部長を含めたみんなが温かく見守ってくれていた。


「……そろそろ仕事を始めるぞ」

「はい!!」


橘部長の声にみんなは元気に返事をする。
最初の頃だったらありえない穏やかな空気がオフィスを包み込んでいた。

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