素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~
「……やっとだな」

「本当だね……」


橘部長と翔也さんは見上げる様にある場所を見ていた。
そこには私たちの会社がある。
まだ小さくて名前も知られていない化粧品会社。
でも私たちの夢が詰まった大切な場所だ。


「……俺1番!!」


翔也さんはニヤリと笑みを浮かべて走っていった。



「全くアイツは……」

「翔也さんらしいですね」

「あぁ」


静かに笑うと橘部長は私を見つめた。


「泰東」

「はい?」

「ここからだ」

「……そうですね」


私たちの夢はここから始まるんだそう思うと胸が熱くなる。
感傷に浸っていれば私は大きな優しさに包まれた。


「頑張ろうな」

「……はい」


橘部長に抱きしめられながら私はそっと目を瞑る。
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