素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~
私は、ひたすら手を動かしてキーボードをたたく。
パソコンの画面には次々と文字が打ち込まれていくが、タイピングが速いせいか入力が所々追いついていかない。
細かなミスを直しつつも私の手は止まることを知らないかのように動き続ける。


パソコンに向かい続ける事2時間。
私の目と疲労はピークに達していた。


……疲れた……。
でもまだ企画書出来ないな……。


新しい商品のアイディアは驚くほど浮かんでくるんだけど、部長に全部ボツにされてしまう。
何がいけないのかはなんとなくだが分かってる。

分かってるけど……。
どうしても納得できないから私は諦めない。


「……出来た……」


伸びをしながら背もたれに体を預ける私。
間違いがないか、何度も確認して資料をプリントアウトする。


「部長、お願いします」


部長に資料を渡す。
それに目を通し終えた部長は私の方を見上げ笑顔を浮かべている。
でも決して笑っているわけじゃない。

部長は最上級に怒っている時は笑顔になるんだよね。
目が笑ってないその顔で私を見ないでください。

また、お説教が始まる……。


「泰東?俺がさっき言った事ちゃんと理解したか?」

「……はい」

「じゃあなんでこうなるんだ!?」


本日2度目の怒鳴り声にみんな苦笑いを浮かべるほかなかった。
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