素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~
「ただ今戻りました」

「お帰り夏香~」




オフィスに入れば大樹やみんなが迎えてくれる。
いつもと違う事は私に冷ややかな視線と悪口が聞こえてこないこと。
不思議に思って私の事を良く思っていない先輩たちのデスクの方を見ればそこには誰もいなかった。



……どうしたんだろう?
まぁいっか。
冷ややかな視線が無いにこした事ないもんね。



ん?
よく見れば橘部長もいないじゃん。




「悪い夏香、帰ってきてそうそう悪いが
この資料を販売部に持って行ってくれないか?」

「あっ分かりました」




先輩に頼まれて私はオフィスを出る。
販売部に行く為廊下を通っていればどこからか低い声が聞こえる。




「お前たちは一体何をしてるんだ」

「……」




この声は橘部長?
私はきょろきょろと辺りを見渡す。



あそこかな……?
私の目に留まったのは1つの部屋。
確かあそこは打合せ室?
最近は滅多に使わないけど……。



何で橘部長はあんなところに?
気になってドアのガラスの隙間から覗けばそこにいたのは橘部長と私の事を嫌っている先輩2人の姿があった。


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