素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~
「泰東?」

「部長……橘部長は……どんな人ですか?」




私は橘部長の事を何も知らないから。
だから……少しでも知っておきたい。
一緒に働く人間として……。




「アイツか……アイツはな……。
泰東とよく似てるよ」




部長は懐かしむように笑顔を浮かべる。


私と橘部長がよく似ている……?
それってどういう意味だろう?




「橘が昔、企画開発部にいたって事は知っているか?」

「はい」

「その時、俺はもう部長だったんだが……。
アイツが作る企画書と泰東が作る企画書がよく似ていてな……」

「橘部長が作る企画書……」




私はいつの日か資料室で見つけた企画書を思い出していた。
あの資料を見た時の感動も……。

それを思い出しただけで胸がドキドキする。




「橘は自分が作りたいものを作ろうと必死になって頑張っていた。
だけどな……それは会社の求めるものとは違う。
それは泰東もよく分かっているだろ?」

「……はい」



……そりゃね……分かってますよ。
私の作りたいものも会社が求めるものじゃないから。


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