君への距離~僕らの未来~
ブーン…
2台の原付が並走している。
昼過ぎの静かな田舎道に穏やかな時間が流れていた。
「メット壊れてんのに乗るなや…チャリで来い、チャリで!
捕まるで?」
「そのうち買う!」
「…はいはい」
「なあ、なあ、」
「あ?」
「この前さ、シオ、杏の彼氏になりてーのかって聞いたじゃん?」
少し赤くなったケンイチを見てシオは吹き出す。
「ふっ!…ああ、聞いたなぁ」
「笑うなよな!
俺さ、考えたんだ。
俺、今すげー幸せだからさ
今がずっと続けばいいなって…
そりゃ、杏の…その…か、彼氏になったら超嬉しいけど…
でも…まだ、いいや!うん。」
(まだって…)
シオはふっと微笑む。
微笑ましいことこの上ない。