君への距離~僕らの未来~


夏の日差しに伸びる2つの影。







―永遠に、この時が続くと

あのとき俺達は疑いもしなかったんだ。







今も…


イケてるおっさんになりつつある今も、




思い出すのはあのときのままの…少年のままのお前。





俺の中で、杏の中で、…もちろん他の奴らも、





ずっとお前を覚えてる。




…だから悲しくねえし、お前も寂しくねえだろ?










永遠に少年のままのお前を、ずっと。






















(オッサンになったお前も、




見てみたかっただけどな。)













そんな小さな、つぶやきは


あの日のような夏の空に吸い込まれていった。





変わったのは俺、




スーツにネクタイなんかして、重いカバンを引きずってる。






『だせーよ!』




そんなアホの声が聞こえたような気がした。












(うるせーよ!)






夏の日差しに照らされて、
長い影がひとつ伸びていた。

















END

< 25 / 73 >

この作品をシェア

pagetop