君への距離~僕らの未来~
夏の日差しに伸びる2つの影。
―永遠に、この時が続くと
あのとき俺達は疑いもしなかったんだ。
今も…
イケてるおっさんになりつつある今も、
思い出すのはあのときのままの…少年のままのお前。
俺の中で、杏の中で、…もちろん他の奴らも、
ずっとお前を覚えてる。
…だから悲しくねえし、お前も寂しくねえだろ?
永遠に少年のままのお前を、ずっと。
(オッサンになったお前も、
見てみたかっただけどな。)
そんな小さな、つぶやきは
あの日のような夏の空に吸い込まれていった。
変わったのは俺、
スーツにネクタイなんかして、重いカバンを引きずってる。
『だせーよ!』
そんなアホの声が聞こえたような気がした。
(うるせーよ!)
夏の日差しに照らされて、
長い影がひとつ伸びていた。
END