君への距離~僕らの未来~
「…あ!」
窓の外、
病院へと慌てて駆け込んでくる人影が一つ。
「どうかした?」
不思議そうに松崎さんも窓の外を見る。
「あ、いえ…」
「あ!杏ちゃんの旦那さんだ!
そうなんでしょ?」
ニヤニヤする松崎さんから顔を逸らして杏は恥ずかしそうにうなづく。
「なんかあの人に似てる!
ええっと…
ほら、野球の…
……平尾翼!」
杏はふふっと笑い、
空を見上げ、
優しくお腹をさすった。
―こんなに広い空の下、
あなたに会うのを待っている人が、
ほら
確かにいることを…
ママはずっとずーっと、
誇りに
思うのです。