また、きみの隣で
『ゴン』とは、正しくは『ゴン先輩』の事で、1つ上の先輩。
なぜ〝ゴン〟なのか、他の先輩に理由を聞いた事があった。
練習前にいつも体育館のフロアを雑巾がけしているんだけど、先輩が1年の時、前を確認しないで進んでいたら、壁に頭をぶつけてしまったらしい。
ぶつかった時に〝ゴン〟といって、それ以来『ゴン』というあだ名になったんだって。
それで、『ゴン先輩』。
ゴン先輩は美人で、バスケと真っ直ぐに向かい合っている、あたしの憧れの先輩だった。
いつもあたし達1年の指導を頑張ってしてくれていて、バスケの知識やルールなどを教えてくれたのも、ほとんどがゴン先輩だった。
たまに厳しい事を言ったりもするけど、それは全部、上手くなるためのアドバイスにすぎなかった。
あたしはそう思って、ずっと指導を受けてきた。