また、きみの隣で





部活がある日、放課後そのまま昇降口に向かう瞳子を追いかけて、呼び止めた事があった。




「あぁ、千鶴。部活は? 行かないの?」


「瞳子…、」

「私は休むね。今日ちょっと家の用事があるの」

「…瞳子、あのね、あたし……っ、瞳子の、味方だから…!!」




声が震えた。無性に泣きそうになった。




瞳子は少し驚いた顔をして首を傾げた。


「….味方…? …なんの事かさっぱりわからないけど……」






瞳子は、自分がいじめられている事に関してなにも言わなかった。


「辛い」とか「苦しい」とか、絶対に言わなかった。



泣かなかった。




< 30 / 120 >

この作品をシェア

pagetop