また、きみの隣で






─────M中と練習試合をした日、久しぶりに棗に会った。会うのは、幼稚園の卒園式以来初めて。



壊れてさえいなければあたしは素直に喜んで、幼稚園の時のように、差し出された右手を握り返したに違いない。





……でも、酷い事を言ってしまった。



─────『…中学でも、その〝友達ごっこ〟するわけ? 笑わせないでよ』






そして試合後の帰り支度の時も。



荷物をまとめていると、カンナ達に棗と話していた事を聞かれた。


「ねーえ千鶴。あんた試合前M中の奴と話してたけど、なに?」

「知らな。誰って感じ」

「え、なに。知らない奴と話してたの?」

「ウザいから突き離しといた。握手とかも求められたし。マジあいつ論外!」



下品な笑い声が響く。


嫌な笑い声だと思わなくなってしまうほど、あたしの頭と心はやられていた。






そして、中体連の試合でM中の選手が怪我をした時。



「終わり。ざんねーん」




……あの時の自分が許せない。どうして、あんな事言う必要があったのか、わからない………。





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