守ります。
それから2年後。
毎日、同じ電車に2人で乗り会社に出勤。
私がドアを背にして前には彼が立つ。
私達の定位置。
最寄り駅が変わり
電車内から見える景色は変わったけど…。
都会の人になった彼が『さりげない壁ドン』を
してくれているのは今でも変わらない。
伸ばした手の薬指には私と同じデザインの指輪。
微笑む彼に私も微笑む。
いつからか『さりげない壁ドン』を
『守ります壁ドン』に
改名したのは私だけの秘密。
いつもの朝に起きた小さな出会い。
人の波に流されながらも私はあなたに出会えた。
ドアが開き私が人の波にのみ込まれないようにあなたが私の手をそっと繋いだ。
『守ります。』
おわり。