つまりまだ『こども』ってことです
「川ちゃん終わった?」

先に更衣室で着替えを終えた美咲は川田に声をかける。

「はい」

「んじゃケーキ分けるよ。川ちゃんどれがいい?」

「俺はこれで」

川田はガトーショコラとアップルパイを選んだ。

「あとは美咲さん持って帰ってください」

「え?いいの?」

「美咲さん好きでしょ。チーズケーキとオレンジクリームケーキ」

「何で知ってるの?」

「いつもチーズ系のやつ食べてるし。好きなのかなって」

川田は美咲を見てにっこり微笑む。

「じゃあ俺着替えてきますから」

川田は更衣室に入っていった。





「美咲さん忘年会出るの?」

「うん。送別会も合わせてやってくれるみたいだから」

美咲は来週で退職することになっている。数年フリーターをやってきたが、正社員として別の会社に就職が決まったのだ。

お店の裏口まで川田と歩きながら、美咲はお店の鍵をカバンから出した。

「ん?」

美咲はブレーカーを見て思い出す。

「川ちゃん喫煙席の暖房消した?」

「………あっ!」

「忘れたでしょ」

「すいません…」

「はい、ダッシュで行ってこい」

川田は暖房の操作パネルまで走っていった。




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