永遠の果て
「おばさん」

 目が合う。やっぱり結衣ちゃんだった。
 夕陽に照らされた色白な肌が、透き通って見える。
 綺麗だ。と思ったけれど、なんとなく泣いているようにも見えた。

 いつもと様子が違う結衣ちゃんを放っておくことは出来なくて、「どうしたの」。聞きながら隣のブランコに腰掛ける。

 この年になっても、ブランコに乗ると、少しだけ幼少の頃に戻った気分になった。

 緩やかに、二つのブランコがキィと揺れる。

 記憶の中で無邪気に笑う、私と直樹。

 結衣ちゃんの言葉を待ちながら、静かに頭の中の記憶を解き放った。

「浮気、してたの」
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