永遠の果て
「お兄ちゃん…」

 8歳年上の、私のたった一人のお兄ちゃん。
 少しふっくらした、よりお父さんらしくなった感じは、きっと幸せの象徴なのだろう。
 お兄ちゃんは少女の隣に並ぶ。

「覚えてないかな?結衣だよ」
 同時に、少女はにっこりと微笑む。

「結衣…ちゃん?」
「うん、大きくなったでしょ」

 嬉しそうに、結衣ちゃんはくるりと回って見せる。
 覚えていないのも無理はない。最後に会ったのは、この子が5歳のときだったのだから。

「さ、中に入ろ?」

 可愛い姪っ子に引っ張られて、私は久しぶりの香りに包まれた。
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