永遠の果て
 愛していない。
 そうだと気がついたのは、いつだったか。

 偶然就職した会社で出会って、偶然研修で班が同じになった。ただ、それだけのこと。
 それなのに彼は、私を呼び出したかと思うと、真っ赤な顔をして言った。

『付き合ってくれ』と。
 彼の前では、私は酷く寂しがりだった。常にそばにいないと不安で、不安を紛らわすように、彼を求めた。
 結婚してもそれは変わらず、日に日に激しく彼を求めた。

 彼を愛しているという錯覚に溺れて必死だった。捨てられないように、ステラレナイヨウニ。
 少し冷静になればわかることだった。私は彼に依存していただけ。最初から愛してなどいなかった。
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