永遠の果て

 二階に上がり、学生時代の青春が、詰まりに詰まった部屋の前に立つ。
 クリーム色に塗られた楕円形の板に、SHIORI’S ROOMと淡いピンク色で書かれている。
『掃除機はかけてるけど、家具とかは触ってないわよ』
 母の言葉に、なんとなく、予感はしていた。
 そっと、ノブを回してドアを開ける。

 途端、どうしようもない胸やけと、吐き気に襲われた。

 思い出さないように、思い出さないように。懸命にしまっておいた記憶たちが、この部屋からは溢れ出ている。

 壁に貼ってある写真も、カレンダーの日付も、全てあの頃のままだ。
 楽しい思い出ばかりを詰め込んで、苦い記憶を放置してきたツケが、今になって回ってきた。
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