永遠の果て
 目を開けるのと同時に、ガバッと起き上がる。 夢を見ていた。どんな夢かは覚えてないけれど、ひどく愛おしく、哀しい気持ちになる。

 外はまだ薄暗い。昨日は早く寝過ぎたみたいだ。
 布団に潜ろうか迷った挙げ句、電気をつけた。
 カーディガンを羽織る。時計の針は4時25分を指している。
 時計の隣には、たくさんの写真が壁に貼ってある。

 出来るだけ、見ないようにはしてきたのに。
 見てはいけない。見てはいけない。
 思いとは裏腹に、写真は映像となって脳裏に鮮明に蘇る。

 緊張して、前の日は眠れなかった初デートの写真。
 今ではもう取り戻すことのできない笑顔が、壁だけでなく、心にもこびりついていた。
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