永遠の果て

 線を描くように、生ぬるいものが頬を伝い、落下した。
 滴が写真を持つ手に落ちた。初めて、自分は泣いているのだと気づく。

 椅子に座り、ティッシュ箱から三枚ほど抜き取り、目頭に当てる。
 まるで、抑えきれない想いが涙となって溢れているみたいだ。
 彼が私を受け入れてくれた時も、こうして涙を流したような気がする。

 直樹との日々は、心の奥に鍵を掛けてしまっておいたはずなのに。
 思い出さないように、鍵を開けないように、頑なに護ってきた想いが、いとも容易く溢れ出す。

 こんなことになるなら、別れるときにもっと嫌われておけばよかった。
 どんな壁が二人を隔てても、彼を愛しぬけばよかった。

 夜が明けて、カーテンからは朝陽が射し込んでいた。
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