永遠の果て
 朝食を終え、自分の部屋へ戻る。

 ダンボール箱、ふたつ。いるものと、いらないもの。
 こうしていると、なんだか引越でもするみたいだ。
「よし、やるか」

 腕をまくり、小さく気合いを入れる。朝みたいに、何を見ても過去に吸い込まれないよう、心の中の宝箱に、頑丈な鍵を掛けた、はず。

 過去を過去として受け入れられなければ、前に進むことはできない。
 写真が貼ってあるコルクボードの前に立ち、それらを剥がした。

「詩織おばさ~ん。起きてる?」

 ノックとともに、結衣ちゃんの声が耳に届いた。
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