永遠の果て
 ところが、女の子は、少し困った表情をした。
「石川先生は今、男バスの顧問をしてますよ」
「そっか、あ、タオルありがとね」
 マネージャーの子は去ってゆく。顧問の先生が変わったことに、少なからずショックを受けた。

「先生おそ~い」
「遅刻だよ~」
 急に、女の子たちがざわつき始めた。
 入り口の方へみんな駆け寄って行く。もちろん、結衣ちゃんも。

 知らない先生だったらなんだか気まずい。
 思わず立ち上がる。

「ごめんごめん、よし、じゃあ今日も練習始めるぞ」
 少し、聞き覚えのある声。
 声の主との距離は、段々近づく。背が高くて、喉仏が大きくて、優しくて、愛おしくて、忘れもしない。

 目が合う。
 二人の間だけ、時が止まってしまったみたいだ。
 軽く、頭をさげた。

 久しぶり、直樹……。
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