永遠の果て

「お久しぶりです。細谷先輩」
「お、……おお、久しぶり」
 周りに群がった女の子たちは、興味津々な目で私たちを交互に見ている。
「すみません、突然お邪魔して、私用事があるので、そろそろ帰りますね」

 ものすごい早口だったのだと思う。言うなり、一礼して体育館を飛び出した。
 ひとまず、落ち着かなくては。ゆっくり深呼吸をしながら、来客用玄関へ向かう。

 本当は『直樹』と呼びたくて仕方なかった。けれど、私にはもうそんな権利はない。
 心の底から、会いたくて仕方なかった直樹が目の前にいたのだ。これは夢じゃないだろうか。

 さっき見た彼を、頭の中で映し出す。少し、ガッチリして、男らしくなったような気がする。
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