永遠の果て
 玄関に立ち尽くしていた私に、男の子はテキパキと、的確に指示をする。
「あ、ありがとう」
「着替えは置いとくから、早く入って。風邪引く」
「……はい」

 たぶん、私より年下なはず。けれど、私なんかより、ずっとしっかりしている。
 ずぶ濡れになった服を脱ぎ捨て、蛇口をひねる。
 温かい。
 ざっとシャワーを浴び、浴槽につかる。
 冷え切った体が、じんわりと温まってゆく。
 同時に、心も温かくなるような気がした。
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