永遠の果て
「はい、これ」

 慣れた手つきで、手早くコーヒーを入れると、彼は口角を少し上げて、コーヒーを差し出した。
「ど、どうも」
 一口すする。
 甘い甘い、ミルクが多めのカフェオレ。
「じゃあ僕、バイトの時間まで寝るから、乾燥機止まったら服持って帰りなよ。雨も止んだみたいだから」
 ごそごそと、ベッドに半分くらい潜り、彼は言った。
「えっ、でもこのジャージは」
「言わなきゃわからない?」
 真っ直ぐな瞳に、言葉を遮られる。彼は、昔の私に似ている。

「もう一度会いたいから、返しにきて。鍵はポストに入れといてくれればいいから。じゃあおやすみなさい」
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