永遠の果て
『なに、それ』
 私の中の全ての思考が停止する。
 太田は、直樹のことが好きだった。
 オオタハ、ナオキノコトガスキ。オオタハ、オオタハ……

 何度も、心の中で復唱する。現実にするしかない言葉は、私には重すぎる。

『ごめん、てっきり詩織は知ってると思っ……』 焦る祐美子を制止する。
『いいの。いずれわかることだったと思うし。とりあえず今日は、独りで考えさせて?』

 凍り付いた笑顔の仮面を貼り付けて、祐美子を玄関まで見送った。
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