永遠の果て
 ガシャン。
 電話口で、何かが割れる音がした。
 音と共に、私の中の張り詰めた糸も、プツンと切れてしまった気がした。

 太田と寝たのは本当なんだ。と思った。
 思ったよりもずっと、頭は冴え渡っていた。
『……一回だけ。寝た』
 ゆっくりと目を瞑る。 果てなく続く闇の中には、直樹と過ごした日々が音をたてて崩れ去る音が聞こえる。

『ごめん。どうかしてたんだ。お願いだから別れるなんて言わないでくれ』
 ううん。いいの、もうどうでもいいの。
『直樹なんて、もういらない』
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