永遠の果て

 それから数日が経った。
 直樹に再会したあの日、帰ってきた私に、結衣ちゃんは「おかえり」。
 笑顔で迎えてくれた。

 あれ以降、何も聞かれないので、私も何も言わない。少しだけ、結衣ちゃんのその配慮に感謝していた。

 部屋も、少しずつ片付きつつある。
 直樹とのことは、綺麗なまま、箱に閉まってそっとしておくべきなのだ。
 なにも今さら、振り返ることなど何もない。

 臆病でも、なんでもいい。もう私は、傷つきたくはない。
 惨めで、虚しくて、泣きすぎて心が枯渇してしまうなんて、まっぴらだ。
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