永遠の果て
 ベッドに寝転ぶ。
 スプリングがギシッと揺れる。

 そろそろ、働きにでも出ようか。
 貯金はまだ沢山あるが、何もしないで家にいるというのも落ち着かない。

 それになにより、何もしていないと余計なことを考えてしまう。
 考えても仕方のないこと。
 直樹とはもう終わった。それでいい。それでいいんだ。

「……っ、」
 ブルブルと震えながら、滑らかに携帯が机から落下した。
 床の上で今もなお蠢いているそれを拾い上げ、番号も見ずにボタンを押した。

「もしもし」

「…………」
 反応がない。
「もしもし?」
 さっきより、少し強めに問い掛ける。

「この間はどうも」
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