永遠の果て
 この間?
 そう言われて、ここ数日間の記憶を廻る。
 たぶん、いや、確実に、彼しかいない。
「……、あの、雨の日の、ジャージを、えと、あの」
 どう言えばいいかわからなくて、言葉が途切れ途切れでうまく文にならない。
「…………っ、くっ……」
 明らかに、笑いを堪えているのが電話越しに伝わってきた。
「ちょっと、聞いてます?」
「……っあー、ごめんなさい。あまりにも混乱してたみたいだったから。っていうか、今週の日曜、空いてますか?」
「えっ?」
 突然の問いに、声が裏返る。考える間もなく、次の言葉が耳に飛び込んできた。
「もう一度、あなたに会いたい」
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