永遠の果て
 キラキラの笑顔から一転、子犬のように不安げな顔をする目の前の男の子に、何故だか胸の高鳴りを覚えた。

 とりあえず、まずはこの間のお礼を言わなければ。
 ジャージの入った紙袋を差し出した。

「こ、この間はありがとうございました」

「俺がしたくてしたことだから、気にしないでください」

 柔らかな表情で、彼は紙袋を受け取った。
 この間はベビーフェイスにばかり気を取られていたが、こうして並んでみると、思ったより背が高いことに気づく。

 行く宛もなく、並んで歩き出す。

「そういえば、俺の名前知ってます?」
 首を横に振る。
 本当は知っていたけれど、わざわざ表札をチェックしたなんて恥ずかしくて言えないから、知らないことにしておいた。
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