永遠の果て
 楽しいときほど、何もかも忘れたいときほど、あっという間に時は流れていく。

「楽しかった?」
 最後に乗ろうと決めた観覧車の中で、昴くんは柔らかく笑った。

「うん、本当に楽しかった。連れてきてくれてありがとう」
 人も乗り物も、どんどん小さくなっていく。

 本当は、高いところは苦手。けれど、昴くんがあまりにも真っ直ぐな目で見るから、恥ずかしくて外を見るしかなかった。

 このまま、時間が止まってしまえばいいのに。

「…………ったほうがいい」

「えっ?」

「詩織さんは、笑ったほうがいいよ」

 昴くんの温かい手のひらが、私の頬を覆った。
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