永遠の果て
 見てはいけない。顔をあげてはいけない。見なくてもわかるから。

 さりげなく、繋がれた手を離す。
 見られたくなかった。
 見て欲しくなかった。

 きっと、私今ひどい顔をしてる。
 何でもないフリ。ナンデモナイフリ。
 もう私たちはなんの関係もないのだから。

 顔をあげた。

「久しぶり。学校の帰り?先生は大変ね」
 だめだ。さっき少しでも昴くんに心を揺らしたのが嘘のよう。

 今改めて思い知らされる。
 私は直樹じゃなきゃダメなんだ。

「……あぁ。詩織は彼氏とデート?」

「……そうよ」
 違う。ちがうの。

「そうか。じゃあ俺、明日早いから」

 去っていく直樹の背中が段々とぼやけていく。
 ああ。私泣いてるんだ。
 心だけはどこか冷静にことを見つめていた。

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