永遠の果て
「えっ?」

 昴くんの腕が、キツく締まる。

「本当は聞くつもりなかったんだけど、この間の雨の日に泣いてたのも、さっきの人のせいでしょ?」

「ち、ちがっ」

「見てればわかるよ」

 出しかけた言葉を遮られた。
 私の頭上で、昴くんは一つ息を吐いた。

「俺なら泣かせないよ。俺なら、詩織さんのこともっと大事にする」
「昴……くん」

 昴くんの温度が伝わってきて、心地いいと感じ始めている。
 私はなんて弱い人間なのだろう。直樹じゃなきゃだめだと思ってるくせに、昴くんの優しさにすがろうとしてる。

「ねぇ、俺じゃだめかな?」
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