永遠の果て
『俺じゃだめかな?』

 頭の中で、今聞いた言葉を反芻する。

「何……、言ってるの?私みたいなおばさんにそんなこと言っちゃだめ」
 そんなこと言ったら、私はまた甘えてしまう。
 ゆっくりと、昴くんから体を離す。顔を上げると、子犬のような瞳がこちらを見つめている。

「俺なんかじゃイヤ?」
「嫌…………じゃ、ないよ」

 不安そうな顔が、急に弛んだ。

「ならよかった。今は、さっきの人じゃないとダメなんだよね?」

 直樹の顔が蘇る。
 それだけで、また涙が出そう。

「うん」

「じゃあ俺じゃなきゃダメなようにしてみせるよ」
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