永遠の果て
 白のパンツスーツ、真っ赤なルージュに口角の上がった口元。
 別人のような、だけどどこか面影のある彼女。

「太田?」

 久しぶり、なんて気軽に返せるほど私たちは簡単な関係ではなくて、昔の記憶と突然の再会は、私の前に壁をつくった。

「私が、この会社の社長なの。面接希望者の名前を聞いたときは驚いたわ」

 懐かしそうな瞳を浮かべる太田に、履歴書を突き出す。

 今さら、そう、今さら。割り切れるほど傷は浅くない。


「嘘……、だったの」
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