永遠の果て
 駅から歩いて5分。鉄筋コンクリートで出来た、二階建ての家の目の前に着いた。
 18年間慣れ親しんだ、私の家。

 空色に塗られた、真新しいピカピカの外壁を見ると、つい最近ペンキを塗り替えたみたいだ。

 ふいに、母の心配そうな顔と、父の不機嫌そうな顔が浮かぶ。
 父は石よりも堅い頭の人だから、離婚した私を許してはくれないだろう。

 そっと、玄関の扉に手を掛ける。
 10年振りの家族は、私におかえりと声を掛けてくれるだろうか。

「おかえり、詩織おばさん」
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