永遠の果て
「どうしたの」
 怪訝そうに太田を見つめる。

「そんな深刻にならなくても大丈夫よ。なにも婚約者から奪い取れって言ってるわけじゃないんだから」

「でも、もう私たちは9年も前に終わってるんだし」
「ううん、詩織の中では終わっていない。ちがう?」

 図星だ。
 私の中の時計は、まだ動き続けている。

「詩織も細谷先輩も、楽にならなきゃ駄目よ。このまま一生過去に捕らわれて生きていくつもりなの」
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