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「ちょっと、こっちに」
キョロキョロと辺りを見回した藤島くんが、私をすぐ近くの給湯室に押し込んだ。
「な、なに…っ?」
「失礼します」
「えっ?……えっ!?」
慌てふためく私のおでこは、あっという間に藤島くんの大きな手のひらで覆われてしまった。
「具合でも悪いんですか?」
「…………」
悪いとも、悪くないとも言えなかった。
だって、なんて言ったらいいのかわからないんだもの。
「うーん…」
私のおでこと自分のおでこを交互に触れて首を傾げる。
そんな藤島くんに、きゅんとした。
息ができないくらいに、苦しくなった。
5つも年下の男の子相手に、身動きが取れなくなるほどに。