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「………苦しい、の」
「えっ?だ、大丈夫ですかっ!?」
「大丈夫、じゃない」
私は藤島くんの胸に手をおいて、思いっきり力を加えた。
「え?」と、驚いた表情の藤島くんがヨロヨロと数歩後ろによろめく。
それでも足りない。
この胸の、締めつけられるような苦しさは、藤島くんのせいよ。
「ばか」
そう言って、私はもう一度、藤島くんの胸を押した。
藤島くんを恨むなんてお門違いだとわかっているけれど、止められなかった。
「…わっ」
藤島くんの背中が、トンッと小さな悲鳴をあげる。