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「…………ません」
「え?」
「納得できない、って言ったんだ」
藤島くんはそう言うと、私の左腕を力いっぱい引っ張った。
「あ、……っ」
フラフラと体が揺れる。
藤島くんが私の体を支え、そのまま器用に回転させると、今度は私の背中がトンッ、と小さな悲鳴をあげた。
「思ってることは、ちゃんと言葉にしてくれないと」
そう言って私を見下ろす藤島くんの目は、あの日と同じ。
「好きです」と言ってくれた、あの日と同じ。
心臓が、ドキンと大きく跳ねた。
もう、逃げられない。
誤魔化すことなんてできない。
「じゃあ、……笑わないで、聞いてくれる?」
そっと見上げた藤島くんが、優しく微笑んで言ってくれた。
「もちろん」