好きじゃないならキスするな！…好きならもっとキスをして。

「いや、違うからな!?　アイツにフラれたから章子とヨリ戻したいとかじゃないから！」

私の心の叫びが聞こえたのか、焦ったように俊はそう続けた。


「……悪いけど……」

正直、フラれた時はほんとのほんとに、めちゃくちゃ悲しかった。切なかった。

だけど、今はとくに引きずっていないし、俊の就職のことであれこれ悩まなくていい現状にむしろスッキリもしている。まあ、それを言ったらいくらなんでも俊を傷つけてしまうからそこまでは言わないけど、でも。

「ヨリを戻すつもりはない」

こうしてはっきり伝えることは、後で誤解を生まないためにも大事なことだと思った。


すると俊は驚いたような顔をした。なんでそんな顔？　私にフラれるのがそんなに誤算だったの!?　失礼な！


「ほかに好きな奴ができたの？」

「え、いや、別にそれはいないけど……」