好きじゃないならキスするな!…好きならもっとキスをして。
いやいや。本人が直接そう言ったわけじゃないし、単に、俊とヨリを戻してほしくなさそうだったこととかも重なって、そう思っただけだ。


もし、課長に告白されたら……。


いや、やめようやめよう。そんなこと考えるのは。いくら考えても答えが出ることじゃないし、私自身、課長のことどう思ってるか、きっと考えたって分からない……。


翌日もぼんやりといろんなことを思いながら伝票の確認をしていると、隣から美希ちゃんが小声で話しかけてきた。

「先輩、ちょっといいですか?」

「え、あ、うん。なにか分からないこと?」

振り向いてそう尋ねると、美希ちゃんは「いえ」と答えてから。


「実は、金谷さんとお付き合いすることになりまして!」

ちょっと照れくさそうに、でもすごくうれしそうにそう言った。
< 132 / 226 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop