好きじゃないならキスするな!…好きならもっとキスをして。
「そうなんだ! 合コンしてからデートしたりしてたもんね! そうかよかったよかった!」

「ありがとうございます。先輩にも合コンについてきてもらったおかげです! あ、でも本題はそこじゃなくてですね」

「え?」

思わず聞き返す。普通にこれが本題なんだと思ってたけど。だって、これ以上に話題になることなんてある?


「この前金谷さんとデートした時に、聞いちゃったんです」

ふと、美希ちゃんが眉間に皺を寄せ、真剣な表情になる。これは、これから恋バナをしようとする人の顔じゃない。つられるように私も眉間に皺を寄せてしまった。美希ちゃんは、「実はですね……」と、声の音量をさらに下げて、口元に手をやり、ひそひそ話のポーズを作る。だから私も、体を美希ちゃんの方へ乗り出して、美希ちゃんの口元に耳を近づける。

美希ちゃんは、私にしか聞こえないようにこう言った。


「昔、この銀行のとある支店でいじめがあったらしいんですよ。それで、いじめられた女の子、いじめを苦にして飛び降りちゃったらしいんです」
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