好きじゃないならキスするな!…好きならもっとキスをして。
「え?」

課長は思いっ切り、眉間にしわを寄せた。

なに、そんなに変なこと言った? 私。


すると課長は。

「あのな、青田……あ、その飛び降りた子っていうのは青田って子だったんだけど、青田はお前よりもずっとおしとやかで、おとなしくて、笑うときも口元に手をあてて控え目に笑うような奴だったんだよ」

「ちょっと待って。なにが言いたいの」

「お前はおしとやかじゃないし、うるさいし、笑うときも大口開けて笑うだろうが」

な、なんなの! 別にいいでしょ、性格だよ! 私は子どもの頃からそうなんだもん!

「……だから、モモと青田を一緒にしたことなんか、一回もねぇよ」

そう言って課長はフイ、とそっぽを向いた。
……少し頬が赤い気がする。照れているのだろうか。そうだとしたら、この照れは私への照れか、それとも女の子らしい青田さんの姿を思い出して照れているのか。どっちだ。
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